2010年1月20日
第70回ハーネンカムレースに向けた1回目のトレーニングランが行われ、スイスのディディエ・キュッシュが周囲の眼を覚ます滑りを披露し、優勝に向けた意欲を見せた。青空と固くしまった雪質という完璧なコンディションに加えて、アルペンスキー・ワールドカップ滑降の最高のイベントという雰囲気もまた華を添えている。伝説のコースの雰囲気をより味わおうと早々に会場入りしている熱心なファンにも、スタート地点に集まったレーサーたちにとっても、始まりの時を迎えた。
出走する63人のレーサーたちにとって、視界も雪質もこの上もないほどの絶好の状態になった。最初にロレックスのタイミングゲートを横切ってスタートしたのは、地元オーストリアのマリオ・シャイバー。シャイバーはコース脇に陣取った観客の期待に充分応えてみせた。シャイバーはまだキッツビュエルでの経験が浅い選手なのだが、後続のベテラン選手にとってこのコースにどう挑むかの基準となる滑りも示した。シャイバーはとても速いスムーズな滑りだったが、まだ決勝にむけて充分余力を残している。シャイバーは昨年のキッツビュエルはケガで欠場したため、当地での滑降は今年でまだ2回目。だが、あなどるなかれ。シャイバーは2年前の初参加を2位でフィニッシュしていた実績があるからだ!
初日のトレーニングランでこのシャイバーのタイムを上回ったのは、目下ワールドカップ滑降のポイントリーダーであるスイスのディディエ・キュッシュだけだった。キッツビュエルでは比較的経験豊富なレーサーとなるキュッシュにとってコンディションは難しい方がより好ましく、とくに最後のツィールシュプランクのジャンプはもっと難しい方が良いという。決勝ではこのツィールシュプラングでより長く飛ぶとキュッシュは言う。トレーニングラン終盤、リラックスする選手たちが増える中、フィニッシュエリアのロレックスのスピードメーターは決勝日よりもはるかに遅い最高速度を示していた。トップタイムのキュッシュの最高速度は、時速137.3㎞。これは、最高速度では5番手となり、トップはクラウス・クレルの時速138.7kmだった。
3番手タイムはミハエル・ヴァルヒホファーで、前回のワールドカップ戦での敗北へ雪辱を狙うオーストリア勢の動きも初日のトレーニングランのハイライトになった。ヴァルヒホファーのすぐ後ろの4番手には、下位グループから出走したクロアチアの若手ナトコ・ズリンチッチ・ディンがつけてみせた。
警告!ここを超えると、健康を害する恐れがあります
キッツビュエルでの滑降のスタートは、スポーツカーを凌ぐ加速になる。ロレックスのスタートゲートを出ると、51%の傾斜を下り、わずか三秒間で時速80㎞にまで加速するからだ。これらのデータは単なる数字に聞こえるかもしれない。しかし、ここハーネンカムに挑むレーサーたちにとっては、歓迎される数字となる。「ここで初めてのときを今も思い出すよ」と、トップタイムの表示を見ながらディディエ・キュッシュは振り返る。初日、先頭スタートだったマルコ・シャイバーは、「怖くて、怖くて、引き返して、リフトに乗って山を降りたかったほどだった」と言う。イビツァ・コステリッチは、初めてマウスファレに挑む時、その直前の区間で短いスラロームを入れてしまったと告白した。レーサーが一度スタートハウスとウォームアップルームに入ってしまったら、もう逃げ道はないのである。
出走前のレーサーたちは、思い思いのやりかたで準備をする。あるものは押し黙り、コースへのアプローチを黙想する。逆に、歩き回り、話まくるものもいる。それでも、スタート順が近付くにつれて、みな集中していく。男子ワールドカップのレースディレクターであるギュンター・フヤラは、この滑降コースに挑むのを、喫煙になぞらる。コースを滑り降りるのも、それを辞めるのも、個人の意思次第だというのだ。コース下の大会審判団の部屋で、フヤラはウォームアップルームの入り口に次のような警告表示を記すべきだと冗談交じりに語った。それは「警告!:ここを超えると、健康を害する恐れがあります」というものだ。
スタート地点では、カレラヘルメットのハインツ・シュトラセガーが、若手レーサーが初めてスタートするところを多数見守ってきた。そうした中には、ロレックスのテスティモニーであるヘルマン・マイヤーの若き頃もあった。シュトラセガーは言う。「若手レーサーの中には、明らかに恐怖感を顔面に浮かべるものもいる。だが、ひとたびスタートしたら、あとは恐怖に打ち勝つしかない」。アメリカ人のスティーブ・ナイマンのような経験豊富なプロでも、独特な方法でスタート前の不安を克服しようとする。「ただただ、人と話がしたくなる。話題はなんでも良いんだ。とにかく、それで、これからやることから気をそらしたいんだ」と、ナイマンは言う。
2,010年第70回ハーネンカムレース、1回目のトレーニングランは青空と良好な視界という完璧なコンディションで行われた。おかげで、レーサーたちの緊張は少し和らいだ。だが、逆に悪天候で視界が悪い時もあり、こうなると精神的にも厳しい条件となる。心を落ち着かせるために、レッドブルスタートエリアにあるテレビを見るレーサーたちもいた。ちょうど、テレビではテニスのオーストラリアオープンでの、ロレックスのテスティモニー、ロジャー・フェデラーの試合が放映されていた。
最初の選手がスタートするときには、山頂からマウスファレのコースサイドに6列か7列ものファンが並んでいる。オーストリアの伝説的スキーヤーでこのレースに多大な功績を残した故トニー・ザイラーの像が、自らの運命に挑むレーサーたちを見守っている。トレーニングラン終盤になって、シュトラセガーが地元出身の20歳のルーキー、マーカス・デュレーガーのことを指差した。ワールドカップにデビュー戦のデュレーガーは、周囲を気にせずただスタートエリアを歩き回っていた。これもまたレーサーのスタート前の準備のしかたのひとつなのである。
1回目のトレーニングランは、フルスピードではないけれども、レーサーたちにとってすでに真剣なものになっている。カナダを代表するレーサー、マニュエル・オズボーン・パラダイスは、トレーニングランでは抑え目に滑ることで知られている。「ラインを探して、いろいろなことを試しているんだ」と言うと、オズボーン・パラダイスは上着を脱ぎ、ゼッケンをつけてメンタルな準備に入った。
タイムが接近するほど、レーサーたちは下から無線で伝えられるコースレポートに耳を傾けるようになる。ノルウェー勢とカナダ勢はこのレポートを共有しあい、各セクションに陣取ったコーチからの無線連絡を聞くために、無線機の周囲に円陣を組むように集まっている。
水分補給のために水をちびちび飲みながら、レーサーたちはコースレポートの無線に聞き入る。そのあとは、イメージトレーニングに入る。これで、センチ単位の正確さで理想のコーナリングやジャンプを想い描き、完璧な滑りを目指す。そして、ゆっくりとウォームアップをウエアを脱ぎ、スタート小屋へと歩みを進める。
そこからはもうロレックスのタイミングゲートからコースへ出るしかない。
International Press Information(国際プレスインフォメーション担当)
Anna Maria Gregorini (アンナ・マリア・グレゴリーニ)
+43 699 161 60930 (from 17th to 29th January 2010)
+41 79 698 59 56
Email:
anna-maria@kpms.com
Sabrina Zumkehr (サブリナ・ツムケア)
+43 699 104 27151 (from 17th to 24th January 2010)
+41 79 359 15 47
Email:
sabrina@kpms.com
info@hahnenkammnews.com
www.hahnenkammnews.com